わたしたちの決意

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鉄スクラップを主原料に、低炭素の鉄鋼製品を生み出し続ける東京製鐵。資源リサイクルの最前線に立つわたしたちこそ、気候変動対策に真剣に取り組まなければならないと考えます。

トップメッセージ

日頃より当社事業への格別のご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
東京製鐵は、1934年の創業以来、貴重な資源である鉄スクラップを多様な鉄鋼製品へとリサイクルし、わが国の持続可能なものづくりを支えてまいりました。当社の主力品種であるH形鋼は、国内3工場体制で生産しており、現在は国内トップメーカーとしての地位を築いています。1991年には、わが国の電炉メーカーとして初めてホットコイルに参入し、その後も酸洗コイル、めっきコイルなど鋼板製品のラインナップ拡充に取り組んでまいりました。現在は、2009年に稼働を開始した田原工場を加え、鋼板分野へのさらなる進出に向けた技術開発を行っています。

鉄はリサイクルしても品質がほとんど低下せず、様々な製品へと何度でも生まれ変わることができる数少ない素材です。当社は、鉄スクラップのリサイクルにおいて、高級スクラップに頼ることなく、市中老廃屑である一般ヘビースクラップを主原料として鉄鋼製品を開発・製造するという、きわめて難易度の高いチャレンジを繰り返し、成功を収めてきました。今後も鉄スクラップ中に混入する特殊元素を制御し活用する独自の技術を磨き、より付加価値の高い鉄鋼製品へと「アップサイクル」させていくチャレンジを進めてまいります。

また、電炉法による鉄鋼生産は、現在の主流である高炉法と比較し、製造時の二酸化炭素排出量が概ね4分の1であり、電炉鋼材の普及拡大は、世界的な脱炭素化の流れに大きく貢献しうるものです。とりわけ、当社は建材分野から鋼板分野まで、幅広いジャンルの鉄鋼製品を社会に供給しており、現在進行形で高まりつつある電炉鋼材のニーズに対して、高い技術力を以ってお応えしていく所存です。

当社は、2017年に長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」を策定し、わが国の「循環型社会」と「脱炭素社会」の実現に貢献すべく、環境に優しい電炉鋼材の普及拡大をはかってまいりました。2020年10月に、菅首相の所信表明演説において、わが国の温室効果ガスの排出を2050年までにゼロにする、いわゆる「カーボンニュートラル」の実現を目指すことが宣言されました。また、2021年4月には、菅首相が2030年度のわが国の温室効果ガス削減目標を、2013年度比で46%減へと引き上げることを公表しており、国内外で脱炭素化の実現に向けた動きが飛躍的に加速しています。このような趨勢を踏まえ、当社は、2021年6月に「Tokyo Steel EcoVision 2050」の大幅な見直しを行い、2030年の目標引き上げと、2050年のカーボンニュートラル達成を目標として再設定し、わが国の削減目標に整合させています。来るべき2050年に向け、当社が持つ技術力を結集し、電炉鋼材の魅力を高めつつ、省エネルギー活動や再生可能エネルギーの導入などを一層推し進めることで、社業のますますの発展に努めてまいります。

近年では企業戦略における気候変動問題の位置づけが重要になりつつあり、2017年に金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が公表した最終提言では、気変動が企業戦略に与える影響などの情報開示を推奨しています。当社は、気候変動問題を「経営上の最重要課題の一つ」として位置づけており、2019年5月にTCFDへの賛同を表明しました。当社が発行している環境報告書では、昨年度に引き続き、TCFD提言に沿った形で気候変動関連の情報開示を行っています。カーボンニュートラルの実現に向けた世界的な動きの中で、電炉法による鉄スクラップのリサイクルは、きわめて有効な鉄鋼生産プロセスとして、今後ますます注目を浴びることになるでしょう。本サイトでは、当社が「Tokyo Steel EcoVision 2050」のもと、鉄スクラップの高度利用をはかりつつ、二酸化炭素排出量の少ない幅広い電炉鋼材の普及拡大を通じ、社会の持続的な発展に貢献するという強い決意をご紹介しています。引き続き、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

東京製鐵株式会社 代表取締役

わたしたちの決意

環境問題のうち、近年特に深刻化が進む課題として、気候変動問題および資源・廃棄物問題が挙げられます。気候変動問題については、2016年11月に「パリ協定」が発効され、産業革命前からの気温上昇幅を2℃未満に抑えていくこと、そのためには、今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにしていくことが決まりました。その後、気候変動問題は想定以上に深刻化が進んでいることから、2018年10月には気候変動に関する政府間パネル(IPCC)により、「1.5℃特別報告書」が発表され、「2℃未満」では不十分であり、産業革命前からの気温上昇幅を1.5℃未満に抑える必要があること、そのためには、2030年には2010年と比較して温室効果ガスを45%削減する必要があること、および2050年には実質排出をゼロにする必要があることが提唱されました。

温室効果ガスの大幅な削減は地球規模で早急に取り組まなければならない深刻な課題となっています。2020年10月には、菅首相の所信表明演説において、わが国の温室効果ガスの排出を2050年までにゼロにする、いわゆる「カーボンニュートラル」の実現を目指すことが宣言されました。

わが国が2050年に目指す社会の実現には、産業構造や経済社会の変革が必要であり、企業による気候変動問題への積極的な対応に大きな期待が寄せられています。一方、天然資源の大量消費やプラスチックを始めとした廃棄物の排出増大といった資源・廃棄物問題も深刻化しており、2050年に全世界の人口が90億人を超えると予想される中で、現状の消費ペースの持続は不可能とされています。

限りある資源を有効に活用し、社会的課題の解決に向け、東京製鐵は高品質の製品をより少ない環境負荷と低コストで世の中に送り出すことで、「脱炭素社会」「循環型社会」の実現に貢献していきます。

環境問題の社会的潮流

鉄鋼メーカーが、やらねばならない。

脱炭素社会の実現に向けて

安価でありながら、高い強度を持ち、大量に製造できる金属として、人類の生活に不可欠な“鉄”。数々の技術革新を経て、様々な産業分野で使用され、現代文明を根幹から支えています。

“鉄”は、製造時のコストや生産性の面で優れていることに加え、あらゆる素材の中で最もリサイクル性に優れた材料の一つです。天然資源の枯渇問題が深刻になる中、循環型社会の実現に向けて、一層の活用が社会から求められています。

しかし、国内鉄鋼メーカーから排出されるCO2は、わが国全体のCO2排出量(年間約11.0億t)の約14パーセント(年間約1.5億t)に達しています。
産業部門別で最も排出量が多い鉄鋼業は、その削減に向け、どの産業よりも大きな責務を負うべき、と我々は考えます。

産業別CO2排出量

※ 環境省HP 2019年度(令和元年度) 温室効果ガス 排出量(確報値)

電炉が、やらねばならない。

脱炭素社会の実現に向けて

鉄鋼部門のCO2排出量のうち、90%以上は高炉メーカーから排出されています。

生産量1トン当たりのCO2排出量で比較すると、電炉メーカーの製造時におけるCO2排出量は、高炉メーカーの約4分の1以下に過ぎない、ということがわかっています。

高炉法では、鉄鉱石の中から鉄を取り出す際に、酸化鉄から石炭(コークス)を用いて酸素を奪う「還元」が必要となり、その際に大量のCO2を排出します。一方で、電炉法では鉄スクラップを電気で溶解することで鉄を製造します。この電気を発電所で発電する際に生じるCO2が電炉法でのCO2排出量の大部分を占めます。現時点の電源構成においても、電炉法でのCO2排出量は高炉法に比し、圧倒的に少なくなっております。

再生可能エネルギー等の非化石エネルギー起源電力の普及により電力の脱炭素化が進展していくと、電炉法によるCO2排出量は更に低減していきます。

さらに、原料の輸送プロセスで発生するCO2についても、地元の鉄スクラップを地元でリサイクルする「地産地消」型の電炉メーカーの方が、主原料の大部分を海外から輸入する高炉メーカーより、断然少なくなります。

日本の鉄鋼部門のCO2排出量と鉄リサイクルの流れ

※1 出所:西野誠「一貫製鉄プロセスにおける二酸化炭素排出理論値に関する調査報告、ふぇらむVol.3(1998)No.1」

※2 出所:経済産業省・国土交通省「物流分野のCO2排出量に関する算定方法ガイドライン、p6」

※3 出所:財団法人シップアンドオーシャン財団「2000年船舶からの温室効果ガスの排出削減に関する調査研究報告書、p92」鉄鉱石中の鉄は60%と仮定

電炉・高炉の粗鋼1tあたりのCO2排出量の比較

調整後温室効果ガス排出量(tCO2t) 粗鋼生産量(t) tCO2t/生産t
電炉10社計
(粗鋼生産量上位10社)
4,535,986 11,160,414 0.40
高炉4社計
(当時)
162,227,415 79,960,304 2.02

1/4以下

調整後温室効果ガス排出量(CO2t)
電炉10社計
(粗鋼生産量上位10社)
4,535,986
高炉4社計 162,227,415
粗鋼生産量(t)
電炉10社計
(粗鋼生産量上位10社)
11,160,414
高炉4社計 79,960,304
CO2t/t
電炉10社計
(粗鋼生産量上位10社)
0.40
高炉4社計 2.02

1/4以下

出所:環境省「地球温暖化対策推進法に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による平成29(2017)年度温室効果ガス排出量の集計結果」等より作成

循環型社会の実現に向けて

わが国の2019年時点での鉄鋼蓄積量は中国、アメリカ、EU、ロシアに次ぐ約14億トンと推定されています。鉄鋼蓄積量とは鉄鋼製品として使用され、ビルや橋梁、自動車、家電製品等、何らかの形で国内に蓄積された鉄資源の量で、将来的な老廃スクラップの発生源になります。

それらは、将来的にスクラップとして回収され、電炉メーカーによって鉄鋼製品として生まれ変わります。

国内鋼材需要の数十年分に相当する蓄積量を誇る、わが国の貴重な資源である鉄スクラップをリサイクルしていくことは、天然資源の消費を抑制し、持続可能な成長を続けていくうえで大変重要になっています。

しかしながら1990年代に入り鉄スクラップの輸出が輸入を上回ると、わが国における鉄鋼蓄積量の増加幅は低水準となり、現在では年間900万tを超える量の貴重な資源の海外流出が続いています。

日本の鉄鋼蓄積量の推移

一般社団法人日本鉄源協会のホームページを基に作成

東鐵が、やらねばならない。

わが国の電炉生産比率は、わずか20%台にとどまっています。これは約70%のアメリカや約40%のEUと比較しても突出して低い数値です。
国内に30社ほど電炉メーカーが存在し、世界有数の鉄鋼蓄積量があるにも関わらず、こうした状況となっている背景の一つには、多くの電炉メーカーの製造品種が丸棒等の「電炉品種」と言われる限定された市場にとどまってきたことにあります。

鉄鋼生産における世界各国の電炉生産比率(2019年実績)

  • アメリカ合衆国
  • EU28
  • 韓国
  • 日本

出所:World Steel Association「2020 World Steel in Figures」を基に作成

「わが国の電炉の存在感を高め、脱炭素社会を実現するとともに、循環型社会を定着させたい。」
その実現のためには、従前電炉メーカーが製造してこなかったH形鋼や鋼板といった「高炉品種」に電炉メーカーとして果敢にチャレンジし、電気炉製品を広く社会に供給してきた東京製鐵こそ、先頭に立たなければならない、と考えています。

品種 2019年度国内生産量(万トン) 2019年度電炉シェア 東京製鐵の進出時期
丸棒 802 100% 1953年
H形鋼 350 64.0% 1969年
厚中板 983 10.6% 1984年
熱延コイル 3,893 3.6% 1991年
品種 丸棒
2018年度国内生産量(万トン) 802
2018年度電炉シェア 100%
東京製鐵の進出時期 1953年
品種 H形鋼
2018年度国内生産量(万トン) 350
2018年度電炉シェア 64.0%
東京製鐵の進出時期 1969年
品種 厚中板
2018年度国内生産量(万トン) 983
2018年度電炉シェア 10.6%
東京製鐵の進出時期 1984年
品種 熱延コイル
2018年度国内生産量(万トン) 3,893
2018年度電炉シェア 3.6%
東京製鐵の進出時期 1991年

出所:鉄鋼新聞調査を基に作成